アセスメントは現状分析。分析だけでは目的は達成できない

リーダー向けのアセスメントで “分析力が低い” “創造力が低い” “決断力が低い” と出たとする。「そうだよね」「そのとおりだよね」「そう思っていた」のような安心感を得る層が圧倒的に多い。人間、タイプ分けをされると心理的な安心感を得る。組織内で何かを始めていく際には、心理的な安心感はあった方が良い。タイプ分けはあくまで過去の経験から形成された自己の特徴・傾向・分類にすぎない。

過去にやっていない、習慣になっていない、強化されていないことは、低くアセスメント結果がでる。やっていれば、習慣になっていれば、強化されていれば、高くアセスメント結果が出る。大切なことは、需要創造をするために低くアセスメント結果が出た特長をいかにして上げていくか。

この領域が極めて属人的になっている。もしくは、一見正しそうなフレームワークで対処し、できない人を否定するムダな状況になっている。フレームワークはできる人の思考を2次元に落しこんだもの。思考は2次元ではない。つまり、2次元のフレームワークを使う前に、習慣にすべき行動と思考がある。特に思考は、できる人のやり方をマネさせようとしても、上手くいかない。できる人の思考のフレームワークを支えている日々の小さな思考、1秒に満たない思考、できる人にとっては日常のふつう、あたりまえなため、具体的に何が思考のフレームワークを支えている日々の小さな思考なのかがわからない。

例えば、分析力をあげるために、研修の場で分析をするフレームワークを伝えられ、そのフレームワークを使いワークをする。しかし、現業でその分析フレームワークは使わない。そのフレームワークを現業で使うために必要な情報を得ていくための1秒前後の思考の具体的なやり方がわかっていないため。また、使い続けるための神経細胞の新たなネットワークがつくられていないため。今まで使っていないツール・考え方を現業で使い続けるには、少なくても1カ月間(正確には28日)、週2回以上、意図的に、意識的に、今まで使っていないツールを使い続ける必要がある。その結果、神経細胞が新たなネットワークを形成する。より習熟するためには、1ヶ月以上、意図的に、意識的に繰返すことで効率よくできるようになる。

※神経細胞の軸索周りの髄鞘が厚くなる。例:電源ケーブルの金属を覆う絶縁ゴムが厚くなり、一度に通すことができる電気容量を増やしても、漏電せず、耐えられるようになるイメージ。

脳・神経科学の実験結果では、やったことがないことで“やってみて続けられない”ことをできるようにするには、実際に意図的に、意識的に繰返しやることが必要になる。行動科学の実験結果では、やったことがないことは、まず3週間、続けられるまで負担感を下げた具体的で小さな行動をつくり、やり続けることで習慣形成がはじまる。脳・神経科学と行動科学の実験結果はほぼ同じ。

やったことがないことをやってみる。以下の2つのパターンに分かれる。

① やってみると意外と続けることができるた
② やってみたが続けることができなかった

②は3週間から28日間、1週間に2回以上、続けられる負担感の少ないものに分解する。※ 1回の時間は数分でもかまわない。目的は行動・思考し、脳に刺激を与え、神経細胞の新たなネットワークをつくるため。ラクをさせることが目的ではない。

人間の特性は「接近」と「回避」。

自分にとって快・報酬があるものには「接近」する。快・報酬と脳が認知する要因は、過去に近似する経験をし、快が起こり強化されたため(強化履歴の中に格納されている)。強化されたものは継続しやすくなる。継続する神経細胞のネットワークがつくられ、脳の構造が変化しているため。

自分にとって快・報酬がないもの、つまり不快・苦痛からは「回避」する。過去に快・報酬を得た経験がない。つまり、快・報酬を認知する神経細胞のネットワークがつくられていない。

需要創造を進められる行動と思考を習慣にするために重要なことは

「回避」してしまうことを「接近」に変えていくこと。

では、具体的にどうするのか?

需要創造を続けていく場合、自分が「回避」してしまう行動・思考を、3週間から1カ月間、週2回以上、続ける必要がある。続けることで、神経細胞のネットワークがつくられはじめるため。

神経細胞の新たなネットワークをつくるためには、脳の神経細胞に刺激をインプットしていく。つまり、実際にやり続ける。回避する行動・思考をやり続けるために、自分自身が負担感少なる、3週間から1カ月間、週2回以上、やり続けられる小さな具体的な行動・思考につくる。1回の時間は数分でもかまわない。時間ではないため。

例えば、以下をつくることで、具体的にやることが“過去の焼き回し”にならず、“がんばります”のようなスローガンで終わってしまうことを避けることができる人も”一部”はいる。

今、自分がいる環境の中で、

① 何がしたいか?:「______________________________________」※したいこと

↓なぜ?それがしたいのか?

② こうなりたいから:「____________________________________」※なりたい状態

↓なぜ?そうなりたいのか?

③ こうだから:「__________________________________________」※そもそもの動機

しかし、組織の中でベテランと呼ばれるまで、同じ環境にいた場合、需要創造に必要なレベルのものが出てこないケースが圧倒的に多い。

ここで、需要創造に必要なレベルに達していないことを責める、否定する、詰めることをしても、需要創造ははじまることはない。逆に組織への不信感が発生する。外部のMBA教育のような、各組織の極一部のやりたいことがある、目指すビジョンを持っている人達向けのトレーニングのやり方を組織内に持ち込むと、脱落する人が増える。 やり方を変える必要がある。育成のステップが必要になる。

動いていく中で、「したいこと」「なりたい状態」「そもそもの動機」は変わっていく。それが正常。変わることを前提で、上記の①と②③を言語化する。はじめは「自分がしたいこと」が、他人の利益になっていなくても良い(なっていた方が良いが)。はじめの一歩で大切なことは、やったことがないことをやる神経細胞の新たなネットワークをつくること。

①のしたいことを、負担感少なくはじめ、3週間から1カ月間、週2回以上、続けられる具体的な行動にする。目的は、今までやったことがないことの多くは、はじめようとすると「回避する」。この回避を接近に変える神経細胞の新たなネットワークをつくるため。神経細胞のネットワークがない状況で、どれだけ頑張ろうとしても、望む結果はつくられないため。

しかし、ここまでやっても、行動と思考を需要創造型へ変えられないケースもある。こちらの方が圧倒的に多い。なぜか、興味をもつ領域が固定化されており、需要創造に必要なインプット・刺激を入れことができていない。興味の幅を広げれば良いが、そう簡単に興味の幅は広がらない。そのために必要な神経細胞のネットワークがないため。この神経細胞のネットワークをつくるトレーニングをする。このトレーニングは現業をはじめてから年月で、分ける場合がある。

ここまでやることで、需要創造の思考と行動習慣が身について行く。