応用行動分析を踏まえ『人材開発の根本を問う』

~「怒る」は簡単「叱る」は難しい。どちらもしない方が良い。ではどうするか?~

応用行動分析学、行動科学をつかった仕事をしていると、クライアント先の管理監督者の方々から「『怒る』とか『叱る』をどうすれば良いか?」と必ず相談される。

「怒る」は自分の感情をそのまま出すため簡単。

「(自分の小さな自尊心が)傷ついた」「(自分の)思うようにいかない」だから、イライラし腹が立ち、相手に怒りをぶつける。相手に怒りをぶつけても、相手は自分が望むように変わることは無い。より怒りが強くなる行動を相手がするようになる。その原因は自分自身にある。

「怒る」はしない方が良い。相手の都合や立場を想像できる場合は「なんで、(相手は)そんなこと言うんだろう?」と考えていくことで、怒りがおさまる。自分の都合だけではなく「相手の都合」も考えていくことで、仕事にしろ、日常にしろ、楽しくすごしていけるようになる。仕事をする場合、相手の立場・都合を想像できるスキルはとても重要。仕事は相手の問題を解決することだから。

しかし、どうにもならない相手もいる。その場合は関わらないようにする。相手が関わってくる場合は「悲しい人なんだな」と流してあげる。それでもダメな場合は、最終手段として力で排除することも必要にはなる。力をつけることで、その力は使わないで済むようになる。

「叱る」は相手のことを考えないとできない。とても難しい。

たとえば「大嫌い」と口にする子供がいるとする。心の底から嫌いなら「大嫌い」と伝え、相手と関係を切れば良い。しかし、恥ずかしいから、照れ隠しで「大嫌い」という場合がある。本心は相手のことが「大好き」。であれば、「大嫌い」ではなく「大好き」と言った方が良い。「大嫌い」と口にする人は、相手が「大嫌い」と聴いた直後にどのような気持ちになっているかが想像できない。相手が悲しい気持ちになっていることが、肌感覚でわからない。そのため「大嫌い」と言ってしまう。この場合、「大嫌い」と口にしている人に「大嫌い」と第3者が言葉を投げてあげ経験させてあげて、「どう感じた?」と問いかけて立ち止まらせてあげる。経験、立ち止まり、振り返りをすることで肌感覚の理解が得られる。これはとても大事。頭だけの理解とは比べ物にならない。すぐには「大嫌い」を「大好き」に変えることができないけれど、「大嫌い」を言う頻度が下がっていく。

「『大嫌い』と言わないこと」と行動を叱っても、根本は変わらない。叱られることは“注目される”ことにもなるため、注目を得たいがために「大嫌い」と言い続けることが出てしまう。これは避けたい。叱るよりも、経験してもらう、そして立ち止まり、考えてもらうことは効果がある。

叱る対象は「相手と自分を傷つける行動」に絞られる。

しかし、問題が残る。「大嫌い」という言葉を体験してもらう、このレベルであれば問題は無いが、言葉以外の動きがともなうものは暴力になる。暴力は相手の行動と思考を減らしてしまう。どのような事情があっても、すべきではない。相手の行動と思考を減らすことは、相手の未来の可能性をつぶしてしまうことになる。

「なぜ、相手を傷つける(暴力をふるう)のか?」を応用行動分析学で考えていくと「相手を傷つけることで”快”(報酬)が得られる」からに行き着く。その人は快が不足している。達成感を得ることが無く、周囲から認めてもらえることもない。であれば、周りにいる人たちが、快を別のカタチで獲得できるようにしてあげればよい。

「できることを増やして自発的になってもらう」に行き着く。