仮説思考、ゼロベース思考。ある程度の組織では、ふつうに、あたりまえに使われている言葉。目の前の事実を観察し、今まで取り組んだことのない領域に入るため仮説を想像する。その仮説を今までやったことのない行動と思考をとり検証する。さらに、今まで培ってきた技術と常識を含む知識を一旦、横に置き発想する。
もし、これらがふつうにできているのなら、イノベーションは組織の中で起こる。そこまでいかないにしても、創造・クリエーションがふつうに組織の中で発生する。しかし、そのように事実はほぼ無い。新たな需要を創造できるリーダーは、組織の中にほぼいない。今まで約750社の大手企業から中小企業まで関わってきた結論です。
問題があれば、正解が何かを探そうとする。問題が目の前にあれば、それをすぐに解こうとする。それは組織の中で、すでに誰かが創った需要に対応する組織の役割を担うには大切なこと。一般的に優秀、仕事ができると言われる。しかし、イノベーションや創造・クリエーションを進める場合は、これでは先に進まない。
問題が目の前にあれば「そもそもその問題は解くべき問題なのか?」と問う。問いかけ答えが出るわけがないため、問題の仮説と問題を解決するやり方の仮説をつくり、小さな失敗を想定した上で、まず小さくやってみる。やってみて反応を観て、そして仮説を検証する。できるかぎり、速く、やる数を増やす。達成感や承認を得られることは、ほぼない。上手くいかないのがあたりまえ。その状態で、行動と思考をつづける。そして成功にもっていく。多くの組織人からすると常識がない人とラベルを貼られてしまう。
研修やトレーニングには満足度などの評価がされる。仮説思考、ゼロベース思考を正しく身に付け、イノベーション、そこまでいかなくとも創造・クリエーションのやり方を習得する場合、満足度は得られない。選抜された組織の中の優秀と言われる参加者は、正解を得られない、正しいアウトプットイメージを教えてもらえないため。唯一、得られるのは視点、物事のとらえ方が変わることで得られる小さな達成感。これは得られる。
もし、自社にイノベーション、そこまでいかないにしても創造・クリエーションができる人材を育成する場合は、やり方を変える必要がある。常識は目先のモノゴトを効率・効果的に判断し対処するツール。イノベーションや創造・クリエーションは目先の常識で判断できるものではない。
そもそも、組織と取引先・お客様の常識が何かを言語化できる人は、ほぼいない。そのため、機能しない常識により、新たな需要創造の芽がつまれている。