ジョブ型は他責にできなくなる環境

組織の中のパワーバランス。パワーバランスの中で生きていく策略。ジョブ型がふつうになっていくことで、このようなお客様や取引先の価値創造につながらない行動と思考は、なくなっていく。

パワーバランスのわかりやすい例は、その組織に入ってからの年月の長さ、年次。例えば「わたしはまだ若手なので」。この言葉は状況が悪くなった場合の他責ワードにもなる。この他責の権利と引き換えに、組織のパワーバランスの中で決められた範囲で、まともな人であれば「期待に応えたい」と思いながら生きていく。期待に応えることが、お客様や取引先のためになるわけでは無い。お客様や取引先の価値創造ができなくても、大きな環境変化が起きない限り守られる。

ジョブ型の場合、組織が必要としている能力を提供する。その能力をより高めていく。一般的な集合研修、階層別研修で高めてくれるわけではない。自分に必要な能力で価値のある能力は、固有性が高い。固有性は実践と内省を通じて育まれる。いずれも想像力と創造力が必要になる。創造性がないものは、誰でも身に付けることができる。一般的な集合研修、階層別研修で提供されるノウハウは、一般的に流通しているもの。つまり、最低限必要なものであって、特別なものではない。持っていないと土俵に上がれないレベルのもの。

ジョブ型は組織が必要としている能力。それに対して対価が支払われる。組織が必要としている能力は、お客様や取引先の価値創造に直結する能力。メンバーシップ型の組織のパワーバランスを忖度しながら、策略にもとづいて組織内の人と関係をつくっていく。この関係はお客様や取引先の価値創造にはつながらない。

メンバーシップ型、ジョブ型、どちらを選択するかは各個人が決めること。自分が決めないことには、人間、自己コントロール感が得られず、自発で行動と思考は続かない。