業界構造を知り、業界動向を把握し、今後を想像する

業界の構造を知る。どのようなプレイヤーがいて、どのような関係があるのか。

業界構造を踏まえて、今、何が起きているのか、つまり動向を把握する。

情報を集め、この2つを整理、体系立てるだけでもずいぶんとパワーがいる。俯瞰して物事をみる習慣をつけるにはとても良い訓練になる。

問題はこの次のステップにある。

「これらから何が言えるのか?」と分析をする。

業界構造と業界動向は事実。この事実から何が言えるのか。これで終えてしまうことに問題がある。構造と動向は過去。この過去から未知の未来を想像するステップが抜ける資料は発言の場に出くわす。

事実は大切。しかし、事実は過去のこと。今後のことは、含まれていない。

楽観、悲観、現状維持。と3つのパターンでシナリオを考えることで、この状況を改善する。

しかし、このシナリオを考える際に、事実を踏まえ、ありえない変数、例えば、デジタルを支える電気が無くなった場合、感情を持ち、習慣を持つ人間がどう反応し、どう動くのか。その結果、どのような状況になっていくのか。など、具体的な空間を持つ絵を頭に描き、シミュレーションしていく。ここには根拠はない。根拠のないことは意思決定できない。保留か棄却される。そのような場面に何度も出くわしている。

これでは新たな需要の創造、イノベーションは発生しない。非連続や飛躍、ジャンプとスローガンは出るが、想像をし、想定した未知の領域に対して承認の意思決定を出す場面はほぼない。

想像は思考を深めるもの。思考を深めることは具体的な空間を持つ絵を想像し、変数を組込、未知を想定する。その実現可能性をロジックで検証する。ロジックは思考を展開するものだから。

需要創造やイノベーションには、業界よりも範囲を広げていく必要はある。業界の定義自体が不明確なのだから。しかし、範囲を広げていくにも、立脚する足場が必要になる。その足場として、業界構造、業界動向はとても有益なもの。