行動データと消費者心理の問題点。ではどうするか

デジタルマーケティングが自動化を進めることで、さまざまな行動データが蓄積される。行動データから観えてくるパターンが使われる頻度が増えていく。デジタル以外のマーケティングは、消費者心理をデータから洞察する。どちらにも問題がある。

デジタルマーケティングにより蓄積される行動データからは、顧客の感情が見えてこない。顧客は日々、感情に左右される。好きか嫌いか。快適か不快か。嫌いなモノゴトは回避し、好きなモノゴトには接触する。不快は避け、快適に近づく。

デジタル以外のマーケティングの消費者心理の洞察は、顧客の価値観をみようとする。しかし、価値観を特定する観察者に依存することが多い。そもそも、観察者本人が過去に持ってきた、今持っている価値観”以外”の価値観の本質を理解することは極めて難しい。顧客と企業のマーケティング担当者の年齢が近く、同じような経歴を持ち、過去に同じようなポジションを歩んできた、そして、今の行動パターンが近しい場合は、価値観の洞察は機能する。しかし、年齢が離れると、顧客の価値観の特定は上手くかない。年々、価値観の幅と深さが広がっている。これは今後も変わらない。その中で、心理を洞察することは難しくなる。

では、どうすれば良いのか?実際に顧客と対面で接触をする。大切なことは、顧客が不快にならない。楽しく話をし続けること。その上で、以下の3点を観察していく。

1.なぜ、その行動をはじめたのか? 何がトリガー(誘発刺激)になったのか?

2.なぜ、その行動を続けているのか? どのような快(強化刺激)が発生したのか?

3.そもそも、その行動の機能は何なのか? 同じ機能をするやって欲しい行動は何か?

これらがエンジニアリングマーケティングの根幹。

マーケティングはこれで良い。しかし、マーケティングが完璧であれば、つまり、マーケティングだけで顧客の購買とその継続が実現できるのではあれば、これで良い。しかし、B to B商材の場合は、なかなか、そうはいかない。

顧客に関わる営業担当者の存在が大切になる。顧客が必要とする商品を説明する、プレゼンする。しかし、成約につながらないケースが増えている。担当者が変わると、契約が切れるケースが増えている。なぜか?

顧客企業の担当者と意思決定者は人間。感情を持つ人間。好き嫌いがある。嫌いな人からは買わない。もし、購買を続ける場合は、金額が他社に比べて安いケース。これでは、粗利が削られ、企業が存続できなくなる。

いかに際われずに、好きになってもらうか。そのために、どのような行動を取れば良いのか?それを明らかにして、トレーニングをする必要がある。一般流通しているビジネススキルではない。その企業固有の行動が必要になる。一般流通しているスキルには、企業の色が無い。色味も好き嫌いの要素。

デジタルマーケティングと対面接触営業は両輪です。どちらが偉い、優秀の話ではない。双方に役割と特性がある。

ライフタイムバリューの計測、カスタマージャーニーの企画をしても、最後は、自社と顧客の人間関係。人間関係は好きか嫌いか。嫌いなら避ける。好きなら関わる。デジタル化が進めば進むほど、顧客の感情を制御する行動と刺激のつくりこみと実施が重要になっていく。企業で働く人たちが、人間として正しい行動を習慣にしていくことが必要になってもいく。人間としての正しい行動は、極めてふつうの行動が多い。