手法を具体的に教えても、現業で使うわけではない

特定の人に手法を具体的に教える。相手がすぐに理解できるように、相手の言葉で、相手の身近な事例を使って。定着のためにスモールステップに小分けにして。しかし、そこまでしても、現業でその手法を使わない人が出てくる。

そもそも、その手法を現業で必要としていない。それが原因。必要としていない手法だから、使わないだけのこと。やる気の有無の問題ではない。能力の問題でもない。

手法を伝える前に、

「そもそも、何をしていきたいのか?」

「どんな問題を解決したいのか?」

「どんな問題解決なら動機付くのか?」

「その問題を解決することで、他人の利益になるのか?」
 ※利益には金銭と非金銭がある。

「その他人の利益、自分の利益になるのか?」

これらを明らかにしてあげないと、どれだけ素晴らしい手法を、懇切丁寧に伝えても、現業で使われることはない。これらを一言で言うと“思い”と言う人もいる。確かにその通り。

しかし、「思いが大事」「思いを持つように」と言ったところで、思いは出てはこない。そのため、上記のような手順を時間とお金をかけてやる必要がある。特に今後、組織をリードする候補者には。候補者の多くは、組織の中で優秀な人、ハイパフォーマーが多くなる。彼ら彼女達の多くは、組織の中で、組織の常識・ルールを守り、言われたことをミスなく迅速に対処する行動と思考の習慣がついている。自分が組織が向かう方向性を踏まえ、「何をしたいか?」を思考してきた回数と深さが不足する。そのため、上記のような手順が必要になる。