他人の利益から想像できる人達だから、予定調和を崩すことができる

仕事柄、組織の規模に関わらず、各現業で先端にいる尖っている人の行動を観察し、思考を推察する時間が多い。彼ら彼女達は、極めて常識的。常識を客体化できているため、常識から離れることができる。

各自、ある場所を共有するまでに、各自なりのゴールとそこに至るまでのシナリオを構想している。その痕跡は話をしている際に観える。しかし、事前に構想したシナリオを容易に捨ててしまう場面に遭遇する。簡単に自己否定をしているようにもみえる。

なぜ、このようなことができるのか。事前にゴールを描く際に、自分の利益の前に、相手の利益、相手が日常を送っているであろう環境の利益を想定し、その相手の利益の結果、自らの利益が得られることを意識的にせよ、感覚的にせよ想定している。

上記が成立する条件は、場を同じにする人達全員が、自分の利益を得るには、相手の利益をつくる必要があることがわかっている場合。もし、自分の利益だけの人がその場にいる場合は、とうぜん、その自己の利益だけの人を、強引に押しのけることもある。自分の利益からゴールを設定する人の場合、事前に構想したシナリオを捨て去ることはできず押通そうとするため。このようなことが起こる。

もし、1人1人価値観が異なるが、相手の利益から発想できる人達だけで場を同じくした場合、予定調和は必然的に崩れる。それが新たな人間にとって本質的な価値が生まれる前提。

イノベーション、共創、創発は大事だが、それを進めていくには前提条件をある程度、整理する必要がある。多くのイノベーションの場でムダな時間が費やされる原因はここにある。

このような場はこれから貴重な場になる。これは直接対面で関わる必要がある。したがって、ここまでの場“以外”は、すべてオンライン上になっていく。その方が、お互いにムダがない。