まず観る。つまり、インプットを増やす。ここがつまずきの原因。
研修の場、ワークショップの場では、今まで自分が観ていないインプットが与えられる。デザイン思考をはじめられる。しかし、職場に帰り、現業をはじめるとデザイン思考が停止する。観るものがいつもと同じ。現業の中で、観ていない物事のほうが圧倒的に多い。しかし、現業の中で観ていないものを意図して、意識して観ることは、ハードルが高い。それを観るためには、今までとは異なる行動と思考をする必要がある。やり方をつくる必要が出てくる。現業では、目の前の業務をミスなく、より速く対処する、つまり、生産性を上げることが求められ、それが高い評価を得るポイントになる。すでにある、すでに先人が創った需要へ対処するため。これは大切なこと。
どれだけ優れた手法を知っても、それを現業で使わなければ、時間とお金がムダになる。人間、習慣になっていること、つまり、やった直後に、小さな報酬、達成感や承認が得られる、もしくは、やる前に得られる報酬がイメージできることはやる。しかし、そうではないことは、頭ではやった方が良い、大事だと思っていても、行動と思考は発生しない。人間の行動原理と原則を知っていると、解決できる問題が増える。
「やったことがないことをやる」
「好奇心を持つ」
「視点を変える」
「前向きになる」
「聴き上手になる」
「チームで」
「多様な意見が大事」「ダイバシティ」
「常識にとらわれずに」
すべて正解。しかし、現業ではほぼ、実現性がない。習慣にならない。
例えば、常識は身体化され、考えなくても、意識しなくても条件反射でできるから常識。つまり、身体化されているため、具体的に何が常識なのかわからない。その状態で常識にとらわれずには、不可能。
人間、習慣になっていることを優先する。報酬が確実に得られるため。観る目的は、インプットを増やすこと。求められるインプットは、現業の習慣以外の行動と思考をしないと得られない。
まずは、インプットを得るやり方を具体的につくる必要がある。
しかし、それでも継続できないことがある。そもそも、そのインプットを得る興味や関心が、そもそも無い。
「好奇心をもとう」ではこの問題は解決しない。興味を持つために、日々、具体的に、負担感少なく、どのような小さな行動の数を増やすのか。これが必要になる。「アンテナを増やす」では行動と思考は起きない。つまり、興味は発生しない。
「何がしたいのか?」「どういう思いがあるのか?」と問いをつくっても意味をなさない。
現業で毎日、観ているものに対して「そもそも、なぜ、こうやっているんだろう?」。答を出さなくていい。組織で仕事を続けていると、答えを速く出そうとする習慣がついているため。「そもそも、なぜ、こうやっているんだろう?」。こたえはいらない。この数を増やしていく。28日間は。
こんなレベルからはじめ、次の小さなステップ、その次のステップ・・・と設計することで、どのような人であっても、創造力、その前提の想像力はついていく。
大切なのは正論ではない。大切なのは現業で、まずはじめられる具体的なやり方を人間の行動原理と原則にもとづいて創ること。