時流をつかみ、衰退前に次の時流に適応する

刀を製造する刀鍛冶。

刀鍛冶の人達の一部が、金属を取り扱う技術をもとに“火縄銃”の製造技術を磨いていく。鉄砲の銃身の底をふさぐ技術がない。「どうすればふさぐことができるのか?」と試行錯誤を続ける。一方で「刀鍛冶が火縄銃をつくるなんて、ありえない」「どうせ、できやしないよ」のようなことを恐らく言っていた層は仕事が無くなり衰退。

火縄銃を製造する鉄砲鍛冶が繁盛する。

西洋から火縄を使わない新式砲(西洋砲・洋式砲)が入ってくる。火縄銃の製造技術にこだわる鍛冶は、仕事がなくなり衰退。鉄砲鍛冶の一部の人達は、火縄銃の装飾(象眼)技術をもとに、金工彫刻技術を開発し生残る。もしくは、鉄砲に使う火薬の調合技術をもとに、花火を発展、花火の興行技術を開発し生残る。

どれだけ優れた技術を持っていたとしても、時流に合わせ、その優れた技術を変えていかないと、生き残ることはできないことが、種子島に入ってきたと言われる火縄銃の歴史から読み取れる。「○○は広まらない」「○○をはじめるなんて、ありえない」「○○にこだわり続けた方が良い」のような言葉を口にする人達は、ほぼ確実に衰退の道を歩んでいく。

自分達が今、必要とされお金に変えられる技術。その技術もいずれ、必要とされなくなる。その際に、今まで蓄積してきた技術を活かすことができることも読み取れる。そのためには、今後必要とされる技術を身に付ける必要がある。すでにある程度以上の技術が身についてしまうと、新たな技術を身に付けることが難しくなる。習慣になっており、習慣になっているということは、脳内の神経細胞のネットワークが強固に形成されてしまっているため。新たな神経細胞のネットワークを形成するための小さな行動を毎日、続けることは困難。今までのやり方をやったほうが、はじめる負担感は少ない、やった直後に小さな達成感がある。新たなやり方はその逆。はじめる負担感が高く、やった直後に達成感は発生しない。

刀鍛冶を仕事にし、火縄銃の製造にはじめて移っていたプロに、今の時代の行動科学、脳科学、神経科学の知見を伝えたら、どう反応してくれるだろうか。恐らく「なるほど!気持ちの負担がなくなった。新たなことをやり続けるコツがわかったよ!ありがとう。必ず火縄銃を大量に生産してみせるよ!」と言ってくれると思います。