ファクトは大切。ファクトの限界を知って使うことも大切。

現状が上手くいっている。数年はそのまま上手くやれる。のであれば、ファクトを抜け漏れなく整理整頓して、何をすれば上手くいくのかをパターン化、上手くできている人のやり方の暗黙知を形式知にすれば良い。それを組織やチームへ展開し、習慣にすることで、より効率よく、効果的にパフォーマンスを高めることができる。生産性が高いと言われる状態になる。自分の思い込み、認知の歪みや感情に左右されることなく、パフォーマンスを上げることができる。他人の思い込みや認知の歪みは、事実では変えることはできない。人間、不快を回避する。それが人間の行動の原理原則。※他人の思い込みや認知の歪みを直す具体的なやり方は、今回はの文脈にそぐわないため言語化は控えます。

しかし、上手くいかないファクト、事実が発生しはじめる。もしくは、その兆候がみえはじめる場合、ファクトに頼るとより現状が悪くなる。ファクトからは望ましい将来の絵は、帰納的には出てこない。出てくるのは上手くいっていそうな他社のやり口の焼き直し。そこに独自性を出そうとして、理念や精神を持ち出し、他社の焼き直しを挟み込む。結果はどうなるか?価格競争に陥り、お客様や取引先の目先の利益になることばかりを対処し続ける。その先は誰でも想像ができることが起こる。

将来、どうなっていくのか。見えない将来をできるかぎり想像する。事実の範疇を越える。ファクト・事実は将来を見えるように想像するインプットにはとても重要な要素。ファクト・事実は将来を教えてはくれない。「この事実から何が言えるのか?」この発想では、将来を思い描くことはできない。

「この事実から何が言えるのか?」は帰納的なお話。

「この事実から、将来、何が起こるのか?」
「この事実から、将来、うちは何で勝てるのか?」
「この事実から、お客様や取引先の利益をどう創るのかができるのか?」
「この事実から、将来をどう創ることができるのか?」
このような問いは極めてまれ。

将来の絵を思い描く。事実から帰納的に将来の絵を描くことはできない。分業化された組織の中で、優秀、ハイパフォーマーと言われる優れた人材は、必ずしも将来の絵を描くことができる優秀な人材とは限らない。ある程度、事実から想定できる将来では確実に活躍はできる。

ファクトを集めている内に現実が変わってしまうこともある。ファクトを集めた時間がムダになる。少ない事実から、どれだけ将来の絵を思い描くことができるのか。将来の絵はお客様や取引先の利益になるものである必要がある。組織の都合で行動と思考をつくり習慣にしてきた組織の中で優秀な人材にとっては、別の行動思考習慣。

イノベーション、挑戦、新規事業、新商品開発。と言っても結果がでない原因はここにある。

新規○○プロジェクトをつくっても、組織の思考と行動習慣に、
・相手のことを想像する
・将来を思い描く
これらがない場合、新規○○プロジェクトは、がんばっている経過報告で終わる。これは各社の取り組みから明かにわかる事実・ファクト。