こたえがすぐに出なくても「何が〇〇なのか?」を問いかけ続ける効用

「何が “本質” なのか?」
「何が “根本” なのか?」
「何が “ピンポイント” なのか?」
「何が “センターピン” なのか?」
「何が “スイートスポット” なのか?」

事業で結果を出す人たちは、言葉は異なるがほぼ同じ意味の問を自分にする習慣がある。今まで約2,000人近くの業種業態、企業規模に関わらず各社のハイパフォーマーの中のごく一部のトップパフォーマーの行動を観察し思考を想定してきました。目的はトップパフォーマー以外のパフォーマンスを引き上げるため。

トップフォーマーには成し遂げるゴールがある。きわめて個人的なものから、特定の相手の利益をはかるものまでさまざま。成し遂げるゴールに到達するには、やるべきことが多くある。人にも動いてもらう必要がある。人に動いてもらう場合、あれもこれも、それもどれもとお願いしても、できるわけがないことを知っているため、このような問をする。相手にできるかぎり速く達成感を得てもらい、より自発的になってもらうためにも。トップパフォーマーの多くは感覚的に経験則でやっている。言語化をし、行動分析の科学で説明をすると、感謝され、彼ら彼女たちはよりパフォーマンスを上げていく。言語化は改善につながることがよくわかる。

20代から30代半ばまで、このような質問をなんどもなんども上司やマネージャーから投げかけれ「それじゃない」「それは違う」を何度も返されてきた。その都度「なにくそ」と思いながら、その怒りをエネルギーにしてきた。怒りをマネジメントする手法の多くは、その場から注意を別のものに向けるような“怒りを消去する”ものが多い。この怒りのマネジメントは、組織の中で繰り返しできるようなルーティン、オペレーションを担ってもらう人材には必要なもの。しかし、何かを創造してもらう職務を担ってもらいたい場合は、この怒りのマネジメント手法は与えないほうが良い。怒りを消去するのは極めてもったいないため。

今まの上司やマネージャーのおかげで自分の中で自然と問う習慣ができている。ありがたいことです。成し遂げるゴールと現状とのズレを縮めるために、今まで解いたことのない問題を見つけようとする。複数の問題が見えてくる。解くのが自分であれば、すべてをしらみつぶしに解いていくことも時には必要だが、人にお願いする場合はそうはいかない。

「何が “本質” なのか?」
「何が “ピンポイント” なのか?」
「何が “センターピン” なのか?」
「何が “スイートスポット” なのか?」
の問を投げかけ絞り込んでいく必要がある。

過去に経験したことのあるパターンに類似していそうな場合は、過去を参考に本筋を抑えた絞り込みをすればよい。しかし、過去に類似するパターンがないこともある。その場合は、無筋で絞るしかなくなる。まず、やってみて反応を観察しながら、本筋に近づけていく。

経験が増えることで結果を出すためのパターンが増える。読みができるようになる。そのパターンを増やし続けることで本筋を抑えやすくなる。この努力は続けたほうが良いとつくづく思う。しかし、それでも絞り込めない場合は無筋、常識を捨て去り、白紙にして問いかけることが必要になる。過去のパターンを使わない。ゼロベース思考はおそらくこのことを言っている。しかし、言葉は誰でもわかるが、実際にやるのは極めて難しい。

だからこそ、答えがすぐに出なくても、
「何が “本質” なのか?」
「何が “ピンポイント” なのか?」
「何が “センターピン” なのか?」
「何が “スイートスポット” なのか?」
と自分に問いかけていくことが必要になっている。