情報は無料になっている。
ネットですぐに出てくる。自分が必要な情報を自動的に見せてくれる。物知りの人は、ずいぶん前から価値が無くなっている。
知識とスキルも限りなく無料になっている。
スマホさえあれば、いつでもどこでも、セミナーや研修講師が安い値段で知識とスキルを提供してくれるインフラができている。
これらのセミナーや研修講師の話を意図的に聞く時間をつくっている。目的は検証。同じような知識とスキルが配信されている。知識とスキルは一見、問題解決に活かせそうだと錯覚するが、そうはいかないケースが圧倒的に多い。知識とスキルは抽象度と汎用性が高い。つまり具体性には乏しい。
問題は個別具体的。実際の問題を解決するには、抽象度と汎用性の高い知識とスキルを加工する必要がある。ここまで踏み込めるセミナーや研修講師は少ない。実際に試行錯誤の中で、自身が問題解決をした経験が不足していることが原因。パッケージ化された内容を、聴き手が飽きないように演出をしているケースが多い。演出を楽しむ余裕があるのであれば、それはそれでよい。
個別具体的な問題を解決する場合に、
・どこでつまづくのか?
・そのつまづきをどのように越えればよいのか?
つまり勘所が必要になる。
そこまで伝えられるセミナーや研修講師は数少ない。そもそも、セミナーや研修講師をしていないことの方が圧倒的に多い。やすい価格でやる必要が無いため。
目的が何か。低価格のセミナーや研修を聴いて、自分ができる錯覚を得て、自己肯定感を上げるためであれば、問題はない。なんだか自分が賢くなった気になる。それはそれで大事なことだから。
しかし、実際に仕事で具体的な問題を解決する必要があるのであれば、仮説を想像し、試行錯誤しながら検証していく思考の仕方、継続の仕方が必要になる。賢くなっても具体的な問題は解決されない。賢くなることで固定観念ができ、問題解決ができなくなる弊害もある。常識を熟知したうえで、常識外に出る。これがプロの思考と行動習慣。
知識とスキル習得がお手軽にできる。その時間が果たして有効なのか?その判断は自分の目的が何か。それにつきる。「他社が導入しているから」を理由に、安易に導入するのはばかげている。営利法人であれば、目的は利益を出すこと。福利厚生で知識とスキル習得をしても、無駄な時間とお金。
経験は無料にならない。
まず、自分がやったことが無いことをやってみる。そうすることで気が付く。自分の領域外の行動や思考をすることで、自分の領域を客観視できはじめる。自分の常識に問題があることにも気が付く。問題解決の打ち手が変わる。そもそも問題のとらえ方が変わる。
これは知識とスキルを身に付けても、できることではない。
やったことが無いことをやる。これは言葉は簡単。しかし、なかなかできていないのが現実。相手の立場から仮説を想像することも、それを検証するために、相手に関わることもなかなか難しい。
仕事は誰かの問題を解決すること。知識とスキルがあっても、感情をもつ相手に関わることはできない。ましてや相手の問題を特定することはできない。ロジカルシンキング、クリティカルシンキングをしても、相手の問題は特定できない。特定できなければ、解決には程遠い。
相手が何を望んでいるのか?
それをどう実現していくのか?
それが仕事。
それが価値。