需要が減少するビジネスにAIに接続されたロボットを入れる目的。利益金額は増えるが、需要の増加は一切ない。結局、苦しさから逃れられない。では、どうするか?

需要が減少するビジネスにロボットを入れる目的は、売上減少の中でいかにして利益を出すか。つまり、感情に左右されパフォーマンスが変動する社員の人件費を削減する。利益が出るため、同業他社がロボットを入れ遅れた場合、他社の利益がマイナスになったとしても、自社はプラスを維持できる生き残ることができる。製品あたりの利益金額が少なくても、他社がつぶれていく中で、スケールアップができる。人件費はそうそう増えないため、利益金額は増えていく。

余剰人員はどうしていくのか?需要が減少するビジネス環境で思考と行動習慣を身に付けているため、簡単には別の業界へ移ることができない。しかし、同業界はロボットが職務を担っている。

需要をつくる、新たな取引をつくる思考と行動が必要になる。需要をつくる、新たな取引をつくることは、ロボットではできない。取引先やお客様の行動データは蓄積できても、取引先やお客様の感情や心理、特に今後、どのような感情や心理になっていくかを想像することは、ロボットにはできない。人間だからできること。しかし、分業化が進んだ組織の中で7年も仕事をしていると、相手のことを想像することをしなくなる。方針にそって、ある程度決められたことをやる。やったかどうかをチェックされる。やることが目的になる。言われたことをやれば最低限評価される。その結果、本来、取引先やお客様の今と今後の行動、思考、感情、心理を想像しながら、問題を解決していく習慣が欠落していく。

ロボットやAIがふつうにビジネスの中に入る。「人間は退屈な繰り返し作業から解放され」と綺麗事が言われるが、繰り返し作業には小さな達成感「終わった」「終えられた」が発生し報酬になるため、10人中8人以上は退屈だとは認識していない。思考することが苦にならない、経営をしたことが無い一部の層が「人間は退屈な繰り返し作業から解放され」と綺麗事を口にする。

また、営業のセールストークをAIに接続されたロボットがフィードバックし改善してくれるが、そもそも、オンラインが営業の中でふつうになっていると、つまらないセールストークをわざわざ時間をとって聴こうとは思わなくなる。2分程度の映像のURLを送っておいてもらえばそれでいい。これも人間が相手の立場から相手のことを想像できなくなっている1つの証拠。

取引先やお客様は何を必要としているのか?何を望んでいるのか?それを相手の立場から、相手の思考、感情、心理を想像して、こちらの関わり方を検証する。それがこれからの時代必要な能力になっている。

「取引先やお客様は何を必要としているのか?何を望んでいるのか?」この想像と洞察が不足したまま、AIに接続されたロボットを導入しても、人件費の削減、薄利をスケールして利益金額をつみあげることが目的になる。それは大事なことだが、これを進めると、そもそも買い手が買うためのお金が無い状態になる。結局市場は縮小する。

事業戦略構想の中にAIに接続されたロボットを入れていくことは必要なこと。しかし、そもそも、事業戦略が需要創造になっていない。すでにある需要をいかに競合から奪うかが戦略ゴールになっている。昨対〇〇の世界。この世界にAIに接続されたロボットを組み込むことは、既存業務の人件費を削減することしか出てこない。余剰人員を営業、取引先やお客様とのタッチポイントに移動させ、(グロスの)売上があがりましたと言うケースもあるが、頭数が増えればグロスの売上金額はそりゃ増える。実情は利益率は悪くなっていく。働き方の自由度を与える名目で、労働時間を減らしてもらい、人件費を削減していく流れしか、この先にはない。

人に恥じないビジネス、人に恥じない立派な生き方をしている営業担当者や経営者との関係は、共働型になり新たな価値が形成されていく。善之巡環。きれいごとではなく、AIに接続されたロボットが既存業務の担当になっているのだから、人間が人間とどう関わりたいのか?そこを追求した方が、数字が増え、利益が積みあがる。積みあがった利益で市場をつくることを時間をかけてやっていく。自分の身内に、今やっているクロージングありきのセールストークをしますか?おそらくしないと思います。オンラインが仕事に入ることで、過去のクロージングスキルは機能しなくなっている。クロージングされる空気が出た直後に、営業担当者の話を聴かない、あまりにひどい場合は、時間がないといって、オンラインを切れば良い。同じ空間にいないため、押し込むことができないため。

目先を「効率化する、生産性をあげる」。目先を効率化して良い仕事と、効率化してはいけない業務がある。その切り分けをしておかないと、今のように社員が取引先やお客様の立場から想像することができなくなる。その結果、需要をつくる種が見いだせないでいる。独立していた企業が、利益が出ず、投資もできないため、グループ化し、機械化の投資をし、人件費を削減、薄利を積み上げ、利益金額をつくっていく現状になっている。需要は縮小しっぱなし。

大切なことは、取引先やお客様の立場から、取引先やお客様の思考・感情・心理を想像し、次の需要・取引をつくっていく目先の非効率な業務を人間がやっていく具体的なやり方と習慣をみにつけること。