今とくらべる絵・イメージが無い。その結果、本来取り組む問題が観えず、目先で発生する些末な問題に対処、火消しで達成感を得て満足する。火消しが続き、現状が維持できなくなる。では、どうすれば良いのか?

今がある。先々の臨場感のある絵・イメージがあることで、今にどのような問題があるかが観えてくる。先々の絵・イメージが無い場合、今はいま。何も問題はない。唯一対処する問題は、突発的に発生する問題。ほぼ火消しに関連する問題。何かを実現していくための問題解決ではなく、現状を維持するための火消しの問題解決。これを続けていると、現状はますます悪くなっていく。火消しは達成感が得やすい。仕事をした気になる。火消しは中毒性がある。習慣になる。

先々の臨場感のある絵・イメージはどうやって描けば良いのか?

市場調査、ユーザーインタビューからは出てこない。そもそも、調査にしろ、インタビューにしろ現状把握。現状把握から先々の絵・イメージは出てこない。イノベーションが市場調査やユーザーインタビューから出てこないことからわかる。現状把握の本来の目的は、成し遂げたい具体的な絵・イメージがあり、この2つを比較しながら、解くべき問題を明らかにしていくことなのに。

例えば、上司と部下の間。上司から部下を観ると問題があることがわかる。しかし、部下は今の自分に問題があると思っていない。これも同じ状態。上司は部下がどうなって欲しいか、もしくはどうあるべきかの具体的で臨場感のある絵・イメージが、自分の経験を通じて身体感覚でみえている。

ただし、この上司が想い描く部下の絵が、組織の事業戦略に適合していないケースが圧倒的に多い。あくまで、上司が部下だったころの事業環境で生き残る事業戦略を実現するための絵にすぎない。事業戦略のもとになる事業ビジョン。多くは昨対〇〇。これはどうやっても現状に積む話。本来解くべき問題は観えてこない。

「どうなったほうが良いのか?」

「それは、相手の利益になるのか?」

「その結果、自分の利益にもなるのか?」

「そもそも、その相手の利益をはかることが善いことなのか?」

このような問をかけながら、仕事をしていくなかで、臨場感のある具体的なイメージ・絵が描けていく。オペレーションの領域の外。クリエイション・創造は遠い話ではない。難しいことでもない。

創造やイノベーションに関わるフレームワークから、創造やイノベーションは生まれない。フレームワークは埋めることが目的化されやすい。フレームワーク・観点をもとに、実際に自分の仕事の領域の周辺を動き、インプットを増やし、想像していく。そのためにフレームワークは有効になる。

しかし、フレームワークを使う人たちの多くは、組織の中で優秀だと言われる人達。組織は分業化されている。分業の中で優秀は、オペレーション、オペレーターの領域。より速く、よりミスなく職務を遂行する思考と行動が習慣になる。フレームワークももとめられていそうなゴールイメージに向けて、より速く、より正確に埋めることが自動的に目的化される。

目先で発生する火消しの問題はすぐに解決する必要がある。そもそも、その些末な火消しをせずにするために、どうあるのが良いのか?それを仮説でも良いから持ち、動きながら検証していくことが、とても大事になっている。