リーダーは部下にはじめから責任感や自責を求めようとしない

「もっと責任感を持って仕事をしてほしい」「なんで他責にするの?」などイライラすることがあると思います。リーダーが部下に「もっと責任感をもって」や「もっと自責で考えられない?」のような言葉をかけている場面に出くわす。気持ちはとてもよくわかります。そう言いたくなる。今から、一緒に考えたいことがあります。「どうして、リーダー(自分)は責任感をもって仕事ができているのか?」「どうして、他責にせずに、自責で考えることができるのか?」。自分が新人のころ、今のように責任感や自責を持っていたのか?おそらく、そうではなかったと思います。悩みながら、傷つきながらも、試行錯誤を続けてきた結果、いつのまにか、今のように成長してきた。なぜ、続けることができたのか?

仕事でできることが増えてきた。小さな達成感を得られるようになった。嬉しかった。いつもは厳しい先輩から「〇〇さん、上手くなってきたね」のような“承認の言葉”をふいにかけてもらえた、いつもは小言を言うご利用者の方から「〇〇ちゃん、ありがとうね」などの“感謝の言葉”をかけてもらえるようになった。「もっとがんばってみよう」「ご利用者の方が今抱えている目の前の問題を解決したい」と“意欲が湧き”、今まで自分から身に付けようとしていなかった知識や技術を学ぼうとした。先輩やご利用者さんから“期待される”ようになり、知識や技術以外の創意工夫をしようとした。任せてもらえることが増え、自分で決めていけるようになった(自己コントロール感を得られるようになった)。その結果、いつのまにか責任感を持ち仕事をし、何かあったときに他責にせずに自責で対応できるようになっていた。

このような成長を徐々にしてきていないでしょうか?毎日、責任感をもって自責で仕事をするうちに、どうしても、責任感や自責が不足する部下にあきれ「やる気がないんじゃないの?」「やる気がないなら、辞めた方が良いんじゃないの?」のような感情が出てくると思います。そんなときは、その部下が「今、どんな小さな問題で困っているのか?」「その小さな問題を解決するために、具体的にどう思考し、具体的に行動すれば良いのか?」この2つのご自身の今までの経験から想像して、それを部下に伝えてあげてください。その部下はできることが増えます。小さいですが達成感が得られます。もし、ご自身ができそうであれば、部下ができるようになった思考や行動を認めてあげて欲しい。この承認は難しいと思います。リーダー自身がおぜん立てしてあげたことだから。ムリはしなくて良いです。ただ、知っておいて欲しいことは、言葉は報酬になること。金銭的な報酬ではなく、非金銭的な報酬“言語報酬”になることを。

人間はできることが増えていけば、自発的になっていきます。このできることは、人から感謝されたり、認めてもらえたり、期待されることです。他の人の問題を解決するための具体的な思考や行動です。リーダーが経験で身体感覚で理解されているように、知識やスキルを持っているだけでは、具体的な問題の解決はできません。部下に責任感や自責をもってもらうためには、まずは、小さなできることを増やしてあげ、自発的にしてあげる。それ以降は、リーダーの負担は劇的に減っていきます。