エントリーレベルの部下に、知識とスキルは教えても使われない

仕事で必要な知識やスキルを知っているのに仕事ができない部下がいる。このようなことはないでしょうか?ご自身が現場で知識やスキルを使う時を想い出してください。教科書などに書かれている知識やスキルをそのまま使ってい”ない”と思います。知識やスキルを手掛かりにして、目の前の具体的な問題を解決するように創意工夫をしていると思います。学校で優秀、頭がいいと言われていた人が、現場で仕事ができない原因はここにあります。知識やスキルは、そのままでは目の前の具体的な問題の解決はできない。頭でわかっていても、行動や思考ができるわけではないです。

大事なことは部下が職場で目の前にある具体的な問題を解決すること。それができない部下がいた場合は、部下が目の前で抱えている問題を解決するために「具体的にどう考えて」「どう具体的に行動すればよいのか?」この2つを、リーダーご自身の経験を振り返り伝えてあげてください。自分が具体的にどう考えて、どう行動しているかを振り返ることは簡単ではないのは、よくわかっています。「そんな、立ち止まっていられない」状況にあるのもわかります。でも、これができるようになることで、リーダーの仕事はずいぶんとらくになります。ムダなイライラから解放されていきます。

また、できれば国籍が同じ部下には、“教える”カタチは取らない方がよいです。“教える”は上から下へ向かいます。強固な先輩後輩関係の中で育ってきた人であれば、教えれば良いですが、今の部下の多くは、強固な縦の関係の中で育ってきていません。良かれと思って教えても、部下は口では「はい、わかりました」のような返答をしますが「聴いていない」です。その結果「なんで、いつまでたっても、できるようにならないの?!」と怒りが出はじめます。怒りが出ている状態を減らしていく方が、仕事はお互いにしやすくなります。

では、教えずにどう伝えれば良いのか?「示唆・アドバイス」のカタチで伝えることです。具体的には「〇〇さん、〇〇のやり方でやると、どうなりそう?」「〇〇のやり方でやるのは、どう思う?」「〇〇さんは今、〇〇のようにやっている。〇〇に変えてみるとどうなりそう?」のようなカタチです。プラスして「〇〇さん、参考程度で良いです。たたき台にしてください。まったく変わってしまっても大丈夫ですから」まで行けると素敵です。

このように示唆・アドバイスをすると「私のやり方の方が良いです」や明らかに「ムスッ」とした表情をする部下も出てきます。それでかまいません。目的は具体的なやり方を部下にインプットすることです。相手がどう反応してこようが気にしないでください。腹が立つとは思いますが。

「なんで、ここまでしてあげないといけないのか?」と怒りのようなものがこみ上がってくる方もいると思います。私もそうです。「忙しい中、やってあげている」これは事実です。でも、リーダーは部下ができるようになり、自発的になり、みずから仕事に取り組み続けるようにする役割があります。目的は上から管理することではないです。きれいごとに聞こえるかもしれませんが、お互いに余計な負担感を感じないで仕事をしていくには、教えずに示唆・アドバイスをした方が効果的で効率的です。