具体化したやり方はすべて伝えない方が良い

教えずに具体的な思考や行動のやり方を示唆・アドバイスをしていく。少しがんばって3週間(21営業日)つづけていると、すこしずつ慣れてきます。脳の神経細胞に新たなネットワーク・つながりができてくるためです。リーダーに対しての部下の反応が、今までよりも良くなってきます。この部下の反応がリーダーの報酬になっていきます。イライラの発生源だった部下の反応が、自分にとってポジティブなものになった。嬉しくなりますよね。

嬉しくなると「もっと具体的に示唆・アドバイスができないか?」と思考が出てきます。これはとても良いことです。部下が直面している具体的な問題がわかるようになる。その問題を解決する思考と行動の具体的なやり方を、リーダー自身の経験からひも解く。おそらく示唆する量が増えていきます。リーダーはすでに何度もやっているため習慣になっている。ある場面に出くわすと条件反射でできてしまう。しかし、部下はまだまだそうではない。量が増えると、それを記憶しようとする。記憶したとおりに再現しようとがんばる。新しいことをおぼえるときは、誰でも同じ状況になります。しかし、職場は学校ではない。目の前の問題をできるかぎり速く解決できるようにした方が、お互いにムダをしなくて済みます。生産性があがります。では、どうすれば良いのか?リーダー自身の経験からひも解いた一連のやり方の中で「勘所」があると思います。「最低限、ここだけ押さえておけば大丈夫」だと判断できるポイントがあると思います。そこだけに絞り、まずは示唆・アドバイスを部下にしてあげる。

例えば“確認作業”。確認には様々な手順がある。しかし、よくよく観察していくと「確認する対象物と、対象物の正しい・あるべき状態を比較。違っていれば、正しい・あるべき状態に戻す」ここが勘所ではないでしょうか。「不安全状態を不安全だと気づかない部下がいるんですけど、どうしたらいいですか?」と質問されることがあります。「その部下さん、正しい状態を知ってますか?」とリーダーに聴いてみると「あたりまえのことなので、知っていると思いますよ」と返答が返ってきます。リーダーにお願いして部下に、正しい状態を知っているかを聴いてもらう。ほぼ、確実に部下が正しい状態を知らない。リーダーにとってあたりまえ、ふつうでも、部下にとってはそうではないことがあります。

ふつうのこと、あたりまえのことは、多くの場合、やっても達成感が得られづらい。たのしくない。そのため、具体的にした手順や作業手順書、チェックリストを渡しても、継続してくれません。だからこそ「勘所」に絞って示唆・アドバイスをして方が、効果がでやすいです。また、リーダーにとっても、時間が短縮できるため、良いことです。

部下が勘所をふつうにあたりまえにできるようになる。それから作業手順書などのマニュアル類がある場合は、どこにあるかを伝えてください。できることが増えているため、より詳しい内容を身に付けようと意欲が湧いているためです。この逆はしない方が良いです。勘所がわからない状態で、作業手順書などをおぼえさせようとする。おぼえるわけが無いです。チェックリストも同じ。チェックすることが目的になってしまう。