「わかっているはず」を流さない

部下と話をしていると「こんなことは、言わなくてもわかっている“はず”」「こんなことは、知っている“はず”」のような「はず」が頭に出てくることがあるかと思います。今までをふりかえってみてください。この「はず」が発生した後、ほぼ確実に「なんで、こんなこともわからないの?!」「こんなことも知らないの?!」のような感情が出ていませんか。リーダーは多くの実務経験をしていきている。その経験が蓄積され、感覚で判断ができるようになる。部下と話をしている中で、ある程度、部下の行動と思考のパターンの想像がつく。そのため、このリーダーの「はず」はあっている。

リーダーが部下と関わる中で「いわなくてもわかっているはず」「知っているはず」のような言葉が頭の中に出てきた直後に「〇〇さん、(ちなみに)〇〇はどうやってやる予定です?」「〇〇さん、今話していた〇〇は、いつも、どうやってるの?」と“教えてもらうように”問いかけてあげてください。

リーダーが想い描いている具体的なやり方であれば「〇〇さん、教えてくれてありがとう」と教えてくれたことを承認してあげてください。リーダーに対して伝えることが増えていきます。人間、承認された行動と思考は増やしていくものです。意図的にやってみてください。もし、リーダーが想い描いている具体的なやり方と違う場合は「〇〇さん、今、教えてくれた〇〇だけど、〇〇にしてみると、より良くなるよ」と示唆・アドバイスをしてあげください。くれぐれも「それは違う」「そんなふうにいつもやってるの?!」のような返答はしないで欲しいです。目的は部下のできることを増やし、自発的になってもらうことです。リーダーが偉いわけでは無いです。リーダーと部下は役割が違うだけです。

「こんなことは、言わなくてもわかっている“はず”」「こんなことは、知っている“はず”」のような「はず」は、職場で基本とされていることばかりです。応用的なこと難易度の高いことであれば、多少は寛容、大目に見てあげることができても、基本はそうはいかないと思います。しかし、そこで目くじらを立てても、自分たちの仕事はより良くならないです。叱ったところで相手は萎縮し、行動と思考が今よりも減るだけです。叱れば叱るほど、叱る効果は無くなります。「また、〇〇さんが怒っている。なんか、たまってるんだろな」のような状態になっていくこともあります。叱るよりも、部下が直面している具体的な問題を解決する具体的な思考と行動のやり方を勘所に絞って示唆・アドバイスをして方が良いです。

但し、部下を危険にさらす行動、ご利用者の方の迷惑になることは、具体的に叱ってください。ダメなものはダメですから。これらは実際に少しずつやっていく中で、身体感覚で理解できるようになっていきます。一気にできるようにしようとしないでください。1つでも自分の思考や行動が変わることで、他の思考や行動も連鎖するように変わっていきます。