モチベーションは上げようとしない

つい、部下のモチベーションを上げようとしてしまう。「〇〇さん、期待しているから!」「〇〇さんなら、できるから大丈夫!」「〇〇さん、がんばってよ!」など。このような言葉を部下にかけ、数日たつと明らかに元気をなくしている、どんよりしている部下を目にすることがある。なぜなのか?このタイプの部下の行動を継続して観察していると観えてくることがあります。

「モチベーションは上がっている。やる気が目に観える。実際に取り組んでみる。実は取り組み方がわからない。問題が解決しない。その結果、モチベーションがダダ下がっていく」。ここからわかることがあります。「モチベーションが上がっても、目の前の具体的な問題を解決する考え方とやり方がわからない場合、モチベーションは下がる」ということ。言葉にされると「そりゃそうでしょ」と思う人もいるかと思います。しかし、なぜだか仕事場では、部下のモチベーションを上げようとしている自分がいる。

リーダーは「自分がなぜ、モチベーションが下がっても維持できているのか?を一度、立ち止まって振り返って欲しいです。例えば、困難な問題が発生する。困難な課題を自ら設定する。解決のやり方が観えてこない。モチベーションが一時下がる。しかし、今まで経験を通じて身に付けてきた具体的な行動と思考のやり方を手掛かりに、先々に解決できている絵・イメージが湧き、その絵・イメージを報酬に、新たな解決のやり方をつくり、やってみる。やってみて、再度、やり方を改善していく。時間がかかっても解決ができる。今までよりも大きな達成感が得られる。モチベーションが上がる。周囲の期待がより高いものになる。新たな知識やスキルを身に付けようと意欲が再びわく。このような一連の感情の変化があると思います。

「モチベーションは何かをした結果、上がる」ものです。はじめにモチベーションを上げても効果はないことがわかります。モチベーションは何かをした結果、上がるのだから、部下が何かができるようにしてあげれば良い。「部下は今、どのような仕事上の問題に直面しているのか?」「その問題を解決するために、具体的にどう考えて、どう行動すれば良いのか?」「その思考と行動の勘所はどこなのか?」「その勘所を示唆・アドバイスする」。

リーダーがこれら一連のやり方を徐々に身に付けていくことで、部下のモチベーションは上がっていく。新たな業務ができるように導くことができるようになる。部下が「私には無理です」「自信が無いです」などを口にする頻度が減っていきます。

仕事はしんどいことがありますが、仕事でしか得られない充実感、楽しさ、おもしろさがあることを、リーダーは部下に経験を通じて身体感覚で理解させていくことも大事な職務です。今は問題がある部下であっても、できることが増え、人から認められることで、意欲は湧いていきます。部下もリーダーと同じ感情を持つ人間です。変わった部下、変な部下、めんどうくさい部下はいますが、変えられます。