手強い部下に対しては、感情や思いを使おうとしない

とはいっても、目先ではイライラがとまらない。腹も立つ。「〇〇には、関わりたくない」となります。しかし、関わらなければ、今はできの悪い部下の問題行動は継続されてします。では、どうすれば良いのか?答えは関わるための具体的なパターンをつくっておき、それを使って淡々と関わりを持つ。感情や心、思いは一切、必要ないです。ロボットのようになることも、はじめはしかたないことです。

パターンで関わっていく内に、できの悪いと括られている部下は、自分のことを大事にしてくれている、観てくれていると思うようになります。人間、無視をされるのがもっともこたえる。ひとまず、関わってもらえている。この関わりの中で、とうぜん、リーダーが「むっ」とする「いらっ」とすることを、その部下はしてきます。その部下は悪気はないです。自分の立場から、自分の都合でしか、人に関わるパターンを持っていないため。自分がしたことを人がどう思い、どう感じ、どう動くのかなど、一切、想像ができません。無意識に自分と相手は同じになってしまっている。これがわかっていることで「しかたない」と思ってあげられることも出てきます。相手が「なぜ、そんなことをしてしまうのか?」「なぜ、そんなことを口にするのか?」の原因がわかることで、リーダーのイラつき、不快感は下がります。

「そもそも、この今はできの悪い部下に何をしてもらいたいのか?」「その仕事の領域内で、繰り返しができる作業は何か?」を考えて特定してください。それだけで良いので、その作業の手順を紙に書いて、できれば写真も加えて、その部下に渡してください。そして「〇〇さんだったら、もっと良いやり方がつくれると思うから、これをたたき台にして、実際にやってみながら改善してもらえる?」と添えてください。おそらく偉そうな返答をすることがあると思います。「むっ」「いらっ」とすることがあるため、具体的に自分が何を口にするかも、事前にパターンにしておく。そのパターンでやるだけにする。

このようにやりとりをしている中で、その部下が今までよりはより良くやっている場面に出会います。そうしたら、その行動を「〇〇さん、今の〇〇、めっちゃよいね」などの承認の言葉をかけてください。中には「(私のころ)バカにしていますか」と言う人もいます。気にせずに、続けてください。問題のある部下は、人に返答するパターンが不足しています。「バカにしていますか?」と言葉が出ますか、そこに込められている感情にはポジティブなものも含まれています。観察してみてください。とはいえ「いらっ」「むっ」は少なからず出てきますが。リーダーの目的に近づくことを考えると、ちいさなことです。

そもそも、リーダーは自分一人では成し遂げられないことを、部下を育てながら実現していくのが役割です。はじめは「自分は望んでいないが“自分の下に部下が付けられている”」と思うことがあります。徐々に「何かの縁で出会った一蓮托生の関係だと思っている」になり、「自分1人では成し遂げられない大きなゴールを持っている」に変わっていきます。もし、「自分1人でできることを一流の職人のように磨きたい」動機が最も優先順位が高い場合は、リーダーを辞めることをお勧めします。