そもそも習慣、習慣形成って何なのか?

行動科学、応用行動分析学を組織や企業へ導入する仕事を続けています。件数は日本で最も多い。

先日、あるクライアントの優秀なリーダーからこのような質問を受けました。「年間行事や通過儀礼も習慣なんですか?」と。このような観点で考えたことが無かったです。ある時期になると、環境から刺激を受けて、求められる行動ないし思考をする。それがほぼ確実に毎年おこる。条件反射。習慣化されていると考えて差し支えない。

そもそも、なぜ、組織や企業が習慣化・習慣形成を必要とするのか?「従業員や構成員のできることを増やし、組織や企業のパフォーマンスを上げるため」。

所定内労働時間とパワハラ防止。パワーでやらせることも難しい。そのような環境の中で、できることを増やす。人間、できることが増えるとやる気になる。小さな「できた!」「わかった!」は達成感。達成感は人間にとって非金銭的な報酬・快。人間、報酬・快のあることを継続しようとする。人によって、とうぜん、報酬・快が得られるまで期間はことなる。目先の確実な報酬・快を必要とする人もいれば、先々の不確定な報酬・快を求める人もいる。

※動機付けの詳細はこちらをご参考ください

今までとは異なることをはじめようとする。当然、今まで身に付けた報酬・快を得られる行動や思考を自動的に優先してします。やる気が無いわけではない。人間、そうゆうもの。

このような状況の中で、新たなことを1日1回でも、1秒でもやる。こうすることで、負担感が減る。負担感が減ることは人間、はじめやすい。それを目安で3週間、21営業日つづけることで、はじめた当初よりもラクにはじめることができるようになる。脳の中の神経細胞の新たなネットワークが細いが形成できるため。ここまで、くればあとはずいぶんらくになる。

毎日が大事になる。ベースラインと言う。歯磨きをするベースラインは1日2回から3回。朝と夜の人もいれば、朝昼晩の人もいるため。3歳の子供までであれば、1日夜に1回、朝はぶくぶくする程度。この1日1回のベースラインが徐々に2回になっていく。

このベースラインを何回にしていくのか?それが習慣形成の目標値になる。はじめからがんばって、最大の目標数字にしても続くことはない。いくら頑張っても、意識しても、できるわけがない。できたとしても、いずれ続かなくなる。

例えば英語学習のケース。https://ascii.jp/elem/000/001/915/1915922/

休みの日にリカバリーしようとして、平日できていない分をまとめてやる。達成感は得られるが、脳神経細胞のネットワークは形成されない。したがって、継続、習慣になることは無い。

このような人間の原理原則にもとづいた学習が行われることを切に願っています。あまりにもムダなことが多い。その結果、本来、パフォーマンスを発揮できたであろう人がつぶれている。これは損失でしかない。

意識せずとも条件反射でできるようになるまでは、何を身に付けるかにもよりますが目安は6か月。ここまでくると汎化(generalization)が起こる。他の環境下であっても、身に付けた行動や思考が発生しはじめる。そして、今まで身に付けている他の行動や思考へのとうぜん、良い影響をあたえていく。

あれもこれもやろうとしてもムダに終わる。がんばって集中しようとしてもムダに終わる。自分が興味があることに没頭して、深めていくことで、一見、他に応用できそうもないと思っていたことが、より深めていくと他の領域との接点があり、他の領域の理解やスキル・知識を身に付けていける。

興味が無いことを、とにかく記憶する必要もあるが、それができないからと言って、終えてしまうのはもったいない。別の学習の仕方がある。

難しく考えずに「物事を一般論で納得せず、自分でやってみて結論づける」これだけでも、大きなプラスの変化を得ることができる。一般論で納得するのは目先では効率的で生産的。しかし、先々を観ていくと極めて非効率、非生産的。このようなことが組織や企業の中、会議の報告資料で誰も問題視せずに、何事も無くスルーされていく。何事も無くスルーできた。これは達成感、一般論を使いこなす習慣がついていく。その結果、自社や自分の都合を悪気無く、相手に教えつけていく。

「できない(やらない)のは〇〇が悪い」。これでは、よりよい環境はいつになってもできていかいない。