正論をロジカルに言う人は、リーダーを続けられない。ではどうすれば良いのか?

正論を言われる。たしかにそのとおりなので、反論ができない。しかし、納得できないため、相手が求めている反応をしてあげて、あとはやらない。相手は気持ち良くなり、その場は無事に終わる。このような状況を各社でみることがある。そもそも、相手の立場から、相手の思考や感情、心理をできるかぎり想像しようとしているのであれば、正論は言わなくなる。

仕事は相手のためにするもの。相手のいない仕事は本来ない。しかし、「わからないのは相手が悪い」「できないのは相手が悪い」と思考する人は、組織の中のハイパフォーマーにわりといる。一般的に優秀だと認知されている人。

組織は分業化されている。その一部分の中で優秀と言われる人。事業を俯瞰できているわけではない。不定形な業務もあるが、オペレーターと変わらない。極端な話、オペレーターには目的はいらない。決められた範囲の中で、ミスなくより速く業務を回すのだから。

このようなオペレーターが評価されリーダーと肩書をえていく。これは良い。処理能力が高いことは重要なことだから。インプットを増やしていく必要はあるのだから。しかし、オペレーターの思考と行動習慣のまま、リーダーをさせてしまう。その結果、もっともたちが悪い正論がリーダーから出始める。「上がいっているから」「会社がいっているから」「〇〇がいっているから」とよりパワーが強い後ろ盾を使った正論を口にする。

これでは部下が動機づくことは無い。さめるだけ。そして、部下はリーダーが指示することだけを対処するようになる。上手く行かない場合は、指示をリーダーが悪いと思考する。リーダーは部下のパフォーマンスを上げるために、指示と確認・チェックを増やしていく。チェックされることが増えるため、部下は「やりました」「できました」をリーダーに伝え、何事も無く一日を終えることを目的にしはじめる。リーダーは満足する。その結果を上に報告する。しかし、ある時点でとんでもない炎上が起こる。取り返しのつかない事故が起こる。なぜか?「やりました」「できました」の報告の中身を、だれもみなくなっているため。仕事には質がある。仕事は回数ではない。

この状況を改善もしくは改革するために【制度】が新たにつくられる。制度をつくる人は、組織の中で優秀だと言われる人達。その結果、組織の大多数を占めるそうではない社員の行動・思考・感情・心理が理解できていないため、制度が機能しない。ますます、その日一日、何事もなく終えられれば良いを目的にする社員が増えていく。人間には感情がある。論理的、ロジカルな正論で口がふさがれ、不平が観えづらくなるだけのこと。ますます制度が増えていく。多くの制度を運用することが目的になっていく。より上位の目的に立ち返る余裕もなくなる。

同様にパワハラを防止するための研修、怒りを消し込む研修も対処でしかない。そもそも、なぜ、怒りがでるのか?

  1. 望んでいないのに部下が自分の下に付けられた
  2. 自分がやった方がはやい
  3. 自分の仕事がどんどん増えていく
  4. イライラしはじめる
  5. だれもわかってくれない
  6. 暴発

その根本は、リーダーが1人では成し遂げられない目的、その具体的で臨場感のあるイメージ・絵が無いため。この根本をおさえないと、結局新たな問題が発生する。怒りを抑え込めば、その怒りはどこかで暴発する。怒りを抑えても無くなることはない。

リーダーは自分1人では成し遂げられない具体的で臨場感のあるイメージ・絵を具現化するために、部下のできることを増やしていく。これが最も重要な役割。リーダーも部下も役割の違い。どちらが偉い、偉くないではない。

制度や仕組み、システム、ツールを入れても生産性が上がらない。よく耳にする。この根本原因は明らかです。