『介護に頼らない家』をひろめる動機。Tokyo FM『ONE MORING』さんの取材より

2021年11月30日のオンエアに向けて、11月24日にTokyo FM『ONE MORING』さんから取材を受け、「介護に頼らない家を考えるきっかけを教えて下さい」から話がはじまりました。https://twitter.com/ONEMORNING_1/status/1465450121982734336?s=20

弊社の本業は応用行動分析学にもとづいた組織のリーダー人材の開発です。過去840社、従業員3万人の組織から売上3億円の企業に関わらせて頂いています。介護に限りませんが、やらされ感で仕事をする人、お客様のことを考えない人、自分の都合を悪気無く押し付ける人は、どこの組織にも2割以上は確実にいます。「お客様のために」や「〇〇ファースト」のようなスローガンが組織の経営層から出る。これはその証拠。 この2割以上の方々の「できる」ことを増やし、自発的にしていくリーダー開発も弊社の重要な事業です。

「なぜ、やらされ感になるのか?」「どうすれば良いのか?」そのやり方と続け方、その根拠となる理論と実験は終えています。できる限り多くの介護施設に良くなってもらいたいと、介護の専門家の方々と書籍「現場を上手にまとめる 介護リーダーの8つの技術」を出しています。しかし、どの組織も同じですが、本を読む人は多くはないのが実情です。「動画で」と言われることもありますが、やらされ感のまま動画を観させても残念ながら効果は無いです。「見ました」報告をして、それで良いとしてしまう。そもそも、人材開発に時間とお金をかける組織も限られます。パッケージ化された研修、つまり、各現場固有の問題解決につながらないコンテンツを提供し続けている人材育成企業にも問題はある。「『できない』『やらない』人が悪い」と結論付けてしまう。本来は「『できない』を『できるようにする』」そのノウハウを開発し提供することが役割のはずなのに。

したがって、質の高い介護施設はありますが、確率でみた場合、私自身や私の大事な人達が、やらされ感で仕事をしているスタッフ、相手のことを考えず自分の都合をおしつけるスタッフの方にサービスされる確率は最低でも1/5以上は確実にある。

私はこのようなスタッフに介護をされたくない。このようなスタッフに大切な家族を介護されたくない。これが「介護に頼らない家」を考えはじめた、個人的な根本のきっかけです。

一方で、年々、出生数が減りつづけ、高齢者数が増えつづける状況下で、そもそも、高齢者に対応する介護者の数を増やすことは財源不足により困難になるのは明らか。

「ICTで」「デジタル化で」と言うが、ICTとデジタルの機能はパターン化できる人の業務を機械の職務にすること。介護施設の大規模化を誘発、変動費の圧縮ができ、介護スタッフさんの処遇が向上、目先では人材確保がしやすくなり、かつ介護スタッフさんが入居者さんに関わるタッチポイントに時間を使うことができるようになり介護サービスの質は底上げされる。

しかし、根本の問題は解決されず、訪問介護が行き届かない「在宅」が徐々に確実に増えていく「家族介護で」と言っても限界がある。特に心理的に限界に達しやすいため継続は困難です「心理面のケアをする訪問医療者を増やす」と言われるが、根本の問題解決には至らない。

在宅介護、家族介護の実態の凄まじさ、経験しないとわからない領域です。外からでは伺い知ることはできない領域です。今までの人間関係が崩壊する中で、お互いに身も心も崩壊しはじめていく。追い込まれ施設へお願いしようと思うが、過去の関係性から「大事な身内」「大事な家族」が頭をよぎり躊躇する。心身が限界に達し、施設にお願いする。見舞いに行くと、家にいた時と比べて、日に日に、明らかに衰弱していくのを目の当たりにする。スタッフの方も忙しそうで、物のように扱う場面に遭遇する。この場面での心理面は壮絶なものです。亡くなった後も、今まで距離をとっていた親族が急に現れ、もめごとが発生するケースもある。

無理せず介護に頼った方が良いです」とコメントする方もいます。しかし、このコメントは、凄まじい実態を経験していないため言えること。

根本の問題を解決するには「介護を受けることがあたりまえ」「介護スタッフに頼ることがあたりまえ」に”せず”要介護認定を受ける必要のない人を増やしていく

これも応用行動分析学:ABA にもとづいた組織のリーダー開発を本業にしてきた当社の役割だと考えています。この役割を担うことで、結果として「高齢者とそのご家族が今よりも関係が良くなり生活しやすくなり」かつ「介護・医療費などの社会保障費が下がる」。

私個人にとっても、これは切実な問題です。

リクエスト株式会社 代表取締役
甲畑智康