いまの消費者心理を具体的に把握するためのやり方

環境が変わる。使うツール・技術も変わる。しかし、自分のやり方を意図的に変えられるベテランの数は少ない。まわりの人の8割以上が変わって、やっと変わる。そのベテランにとって、消費者のことを把握し、新たな需要を創る仕事は難易度が高い。ベテランがもつ知識と技術はとても有用にもかかわらず。ツール・技術によって使い方は変わる。ベテランは1つの仕事をして5年目以上。5年も同じことをやっていればベテランと同じ思考パターンをしはじめる。パターン化されることで、既存の業務をミスなくより速く対処できるようになっている。

例えば、直接、対面で関われない。関わるツールを導入する。そのツールを使い、今までと同じやり方をする。上手くいかない原因を相手に求める。上手くいかない原因を相手に求めるのは、簡単なこと。しかし、それでは自分の現状が悪くなるばかり。

「相手はどう観ているのか?」

「相手はどう思っているのか?」

「相手は何を今必要としているのか?」

「なぜ、相手はそれを今必要としているのか?」

「では、具体的にどうすれば良いのか?」

この5つの問いかけが自分の中で発生しない。思考が停止している、思考が深まらない原因の1つは、これらの問いかけを自分にする回数が不足することにある。「わからなければ、相手に聴けばよい」。これは誰でも頭ではわかっている。しかし、実際にやってみる人は10人中1人いるかいないか。人間の8割以上は、自分の自尊心・自尊感情が傷つくことを自動的に回避する。では、どうすれば良いのか?

相手の反応を観察して、相手が良い反応をしたものは残して、相手が悪い反応をしたものは止めるか、微修正を加えて再度、やってみる。善い・悪い、必要・不必要は、相手が判断すること。相手を観察することで、インプットが増える。インプットは想像するための必要条件。

過去のデータや他社のデータをかき集めて、消費者心理を洞察しようとしても、限界がある。相手は環境の中で生きている。環境が変われば行動が変わり、価値観も変わる。価値観が変われば必要とするものも変わる。新たな需要を創造することは、相手が環境の中で“抱えていることには気づいていない”問題を特定して、その解決のやり方をつくり提供すること。抱えていることに気づかない原因は、正しい状態がわからないため。正しい状態がわからない状態では、現状と比較するものがない。比較できなければ、問題に気が付かない。ビジョンを描いた方が良いのは、誰でもわかっている。しかし、実際にはビジョンを描くことは難しい。ビジョンは今の自分の行動・思考パターンの延長線上には無いもの。延長線上に無いものを描くには、今、この時点ですぐに必要の“ない”インプットを増やす必要がある。この行動にはすぐに快が発生しない。非金銭的な報酬を得ることができない。すぐに報酬が得られないことは人間、なかなか継続しないもの。

したがって、まずは、目の前の相手を観察することが、消費者心理を把握するための第一歩。そのためには、相手に関わる必要がある。関わるには相手にとってのメリット、もっとわかりやすく言えば、相手にとっての非金銭的利益を与える必要がある。相手が気持良く話ができる。これも非金銭的利益。人間、非金銭的利益を与えてくれない人、気持ちが良くならない人と関わることはない。

参考:行動データと消費者心理の問題点。ではどうするか