売上をつくる創造力のつくり方

環境が変わる。今までのやり方が使えなくなる。時間が経てば環境はもとに戻ると楽観視する。その間に変化した環境に適応できる新たなやり方を想像し、やってみながらより精度を高め創造していく人達・組織がある。今までの煩わしさ、ムダをなくしてくれるため、その新たなやり方がお客様・取引先に受け入れられる。その結果、環境はもとに戻らなくなる。

「変化を素直に受け入れる」「やり方を変える」「新たなことに挑戦する」「もっと考える」。誰でも頭ではわかっている。しかし、実行する人は10人中1人いるかいないか。今まで身に付けたやり方は、考えなくてもすぐにでき、小さな達成感を得ることができる。今まで身に付けていないやり方は、そうはいかないため。

今までのやり方を別のチャネルで再現しても結果はでない。例えば、直接対面のオフラインのやり方を、オンラインで再現しはじめる。オフラインのやり方を、オンラインで再現しても結果はでない。オンラインはオンラインのやり方をつくる必要がある。オフラインであれば60分間時間が取れたが、オンラインに変わることで30分になる。テクノロジーはムダをなくす。相手にとってより価値のあるもの以外は、そぎ落とされる。例えば、お客様が現れるのを待伏せする。オンラインが少しでも仕事に入り込んでくると、この行動パターンは使えなくなる。

「想像力が不足している」「考えていない」「もっとちゃんと感がるように」とスローガンを口にしたところで、現状は何もプラスに変化しない。

病院向けの商品を製造・販売する企業が以下のような問題を抱えていた。これらの問題を、リーダー・マネージャークラスが創造力を高めることで3ヶ月で解決をしていった。


1. 今までは手術室へ入り、オペをサポートしながら、導入商品と先生のマッチングができた。しかし、それができなくなった

2. 手術室だけではなく、そもそも病院から呼ばれない限り訪問ができなくなり、直接対面でつちかってきた関係構築のやり方が機能しなくなった

3. 事務方と購買から「物品管理は遠隔でできるでしょ」と言われ、ますます病院へ行くことができなくなった

4. 課長、係長が現状に適した数字をつくるやり方を試行錯誤してつくれない。その結果、営業担当者の行動量が1/3以下に減少した

5. 直行直帰がふつうになり、課長・係長が部下を管理できなくなった。そもそも、上司と部下の信頼関係ができていなかったことが露呈した

6. 先生、医療スタッフ、事務方の誰が決定権者なのか病院により変わってきている。課長・係長が、部下へ同行が不足していたため、キーマンがわからない

7. 医療営業は、ターゲットにする心療科に関わる全ての人達と関係をつくる必要がある。しかし、キーマン以外に接触し、関わることができていない営業担当者が8割以上の現実を知ってしまった。「ちゃんと指導している」と威勢よく口にしていたマネージャーへの不信感が出はじめた

8. そもそも、営業部長、課長、係長の9割以上は、今の状態はいずれ元に戻ると楽観的に考え、嵐が過ぎるのを待ちの姿勢でいる。オンラインが前提になる環境を最悪のシナリオとして想定することができない

9. 営業部長、課長、係長の9割以上は、プレイヤーとして優秀だったため、結果を出すためのプロセス、具体的な行動のシナリオを営業担当者に教え伝え、できるようにすることができていない。その結果、今のような事態になると、改善ができない。


部下を持つマネージャー、リーダークラスの反応は大きく3つに分かれていた。

①この問題があることに気づいており、問題の解き方を試行錯誤している

②この問題があることに気づいているが、いずれ元に戻ると考え問題を解かずに待っている

③問題があることに気づいていない

比率はおおよそ、①:10%未満、②:70%未満、③:20%以上。

“いずれ元に戻ると考え問題を解かずに待っている”人達を「想像力が不足している」と言うのは簡単なこと。それでは、売上をつくることはできない。どうすれば想像力を高めることができるのか。いずれ元に戻ると考え問題を解かずに待っているの多くは、自分の守備範囲、自分に与えられた業務以外のインプットが不足している。インプットが不足するため「なぜ、そうなのか?」「そもそも、なぜ?」の問いが発生しない。「好奇心を持つ」「興味関心の幅を広げる」ことは誰でも「やった方が良い」とは思う。しかし、ほとんどの人は、やった方が良いと思いながら、それをやらない。新たなことをはじめ、つづけるには達成感を発生させる必要がある。そのやり方がわかっていないために。また、「他社はどうやっているのか?」と問う管理者は多い。しかし、この問いからは想像力は促されない。

自分の守備範囲、自分に与えられた業務以外のインプットが不足すると「なぜ、そうなのか?」「そもそも、なぜ?」の問いかけが発生しなくなる。「なぜ、そうなのか?」「そもそも、なぜ?」の問いかけは、現状を客体化・客観視する、つまり、現実を俯瞰する機能がある。俯瞰することができなければ、そもそもの問題、問題の真因を特定することができない。上記であげた9つの問題の真因は「今、必要とされるお客様との関わり方がわからない」「今、必要とされる部下との関わり方がわからない」この2つ。9つの問題を1つ1つ解決しようと試行錯誤しても、その問題解決は表層的なもの、対処で終わってしまう。

「現状を俯瞰する」「多角的な視点を持つ」「視座を上げる」。誰でも大事だと思う。しかし、どうやれば良いかが具体的にわからない。「役職が上がればできるようになる」は正しいが、需要が増えていかない状態では、役職を増やすことはできない。そのため、俯瞰ができない。俯瞰ができないため、解くべき問題が特定できない。一生懸命、解かなくて良い問題を解く。努力が報われず、学習性無力感が発生し、考えることをやめていく。役職を上げずとも俯瞰できるやり方を身に付ければ、この問題は解決できる。

一方で、解くべき問題が特定できる人であっても、その問題を解かずに止まっている。なぜ、このようなことが起こるのか。創造を阻害する要因に“恐れ”がある。今まで解いたことがない問題を解くことで、はじめは上手くいかない。小さな失敗をする。その失敗を恐れ、解くべき問題を特定しているにもかかわらず解かない。分業化が進み、管理が強くなった組織で散見される現象。「本社(本部)が方針を出すまで動かない」と口にする。

“恐れを排除する信頼”をつくるには“管理”を減らしていく必要がある。社員が自発的に考え、動いていれば管理をする必要はない。管理することで、動かない状態を少し動くようにしているだけ。自発的にするには、社員のできることを増やしてあげれば良い。人間はできることが増えていけば自発的になる。何かをやってみる。その直後にできたが発生する。この“できた”は非金銭的な報酬になる。この報酬が自ら考える、やってみることを促し強化する。管理をしたいリーダー、マネージャーは、部下のできることを増やすやり方を身に付けていないだけ。

創造力は特別な能力ではない。自分の仕事の基本、基礎知識、基礎技術に習熟している人の方が、創造力をつくりやすい。創造力をつくるには、過去の行動様式や考え方を身に付けている必要がある。その身に付けているが何かを客観視し、「なぜ?」「そもそも?」を発するために、自分の守備範囲、自分に与えられた業務以外のインプットが必要になる。自分が身に付けているものを何のインプットも無い状態で客体化できる人はいない。仕事をはじめて5年目以上であれば、創造力を高めることができる。ベテランも同様です。

子供が創造的だと言う考えがある。自由に発想することが創造的だという考えもある。しかし、子供の創造性は仕事では使うことができない。自由に発想したところで、仕事ではその創造性は使えない。仕事はある特定の人が抱える問題を解決すること。お互いに制約条件がある。制約条件を否定しても、何も物事は進まない。仕事で必要な創造力を高めるためには、仕事の基本、基礎知識、基礎技術、さまざまな制約条件などの一般的に言われる常識が必要になる。常識がお互いの意思疎通を円滑にする。その常識が何かを客体化でき、他のインプットを入れることで常識の問題点、今までのやり方の問題点がみえてくる。子供の創造性は、問題解決にはつながらない。私たちが身に付けるのは、仕事、対価が発生する仕事の問題を発見する創造性、その問題を解決する創造力です。子供に創造性があるのは否定はしないが、私たちが身に付ける創造性、創造力ではない。自己表現のための創造力は私達には必要ない。相手のための創造力、そのための想像力を系統的に高めていく。

まず、創造力を高める基本スキルを身に付け、目の前の未来において、自分がどのような貢献ができ、それによってどう利益を得るのかを想像できるようにする。それが、環境が変わった時代に必要な基礎スキル。

問題解決には創造力が必要です。「他社はどうしているのか?」では組織固有の問題解決はできない。組織固有の問題解決をお客様・取引先に提供していかないことには、合い見積もりで値引きされ、利益が削られていく。クリエイティブな組織文化を創造することは、難しいことではない。クリエイティブなチームを創造することも同様です。

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