新たなスキルを身に付けるために、同じテーマの基礎的な書籍をまず3冊以上読む。読みながら頭の中でシミュレーションをする。頭でわかった気になりできた気になる。しかし、実際にできるようにはなっていない。知識をおぼえても、仕事ができるようになるわけではない。
ある程度、現在の業務をこなせる、対処できるレベルになっている場合、新たな領域であっても、基礎的な内容のインプットを続けることは簡単ではない。「もっと応用的な内容をやりたい」「こんな単調なことをいつまで続けるのか。そんな時間はない」「先が遠すぎ、なんだか暗くなってきた」のようなマインドトークが出てくる。基礎的な内容を身に付ける場合、どうしても単調になる。単調は学習を続けるための強化刺激がない。そのため、すでに自分が身に付けているスキルを使うことが優先されていく。すでに身に付けているものは続けるための強化刺激が確実に得られるため。どうすれば、新人ではない人たち、特に30代以上の組織人が新たなスキルを効果的かつ効率的に身に付けることができるのか。
基礎的なスキルを効果的に効率的に学習するステップ:
- 今から何を学習するのかを知る
- 各言葉の定義を理解する
- 具体的なやり方のステップ例を知る
- やり方のステップ例の実演をみる
- 例を参考にした演習の取り組み方の実演をみる
- 演習:問題を手と頭を使いとく
- 演習の答え合わせをする
- 何を学習したかを振り返る
このステップを学習の最小単位にし、確実にできる“簡単”な問題解決のやり方から“複雑”な問題解決のやり方へステップアップする。簡単から複雑へステップアップする際は1つ前の問題解決のやり方が継承されている必要がある。
トレーニングの初回は最短4時間。上記の学習ステップにそって4時間、新たなことのインプットを連続して続けることで、パターン認識が進む。パターン認識が進むことで、どこを観ればよいのかが何となくわかってくる。また、パターンが増えることで、わからなかった箇所に注意を向けて、理解する余裕も生まれる。小さな「わかった」「できた」が新たなことを続ける動機になる。
初回が終わったら、毎日1時間から最長2時間、27日間自習をつづけることで、らくに学習ができるようになる。脳神経細胞の新たなネットワークが形成されるため。しかし、自習ができる人は10人中1人いればよいほう。人間、自分の目の前に危機が来るまで、新たな取り組みの優先順位を自動的に下げていくもの。重要なことはわかっているが、緊急性がないため。しかし、危機が来てからでは遅いケースが圧倒的に多いのも実体験でわかっている。そのため、毎日1時間を15分までハードルを下げる。
質の高いトレーニングプログラムはこれらの学習の原理原則を抑えている。