優秀の基準が変わる。「より速く、よりミスなく」は人間を機械に近づける。人間らしい行動と思考が必要になってきている

速く、ミスなく仕事をこなせる人を優秀な部下、ハイパフォーマーというケースは多い。言われたことを速くミスなくこなせるようになるためには、努力がいる。

はじめた時は、人の役に立ちたいなどの目的があったとしても、いつのまにか分業化された組織の中にいると、より速く、よりミスなく業務をこなす、目先の問題に対処することが目的化されていく。相手のことを想像することも無くなっていく。そして、自分の都合を相手に押し付けていく。いずれも悪気はない、本人も気が付いていない。本人は「がんばっている」と認識している。

機械・RPAロボットも似ている。こちらが提示するアルゴリズムと具体的なプログラムが間違っている場合、エラーを突き返してくる。エラーの突き返し方にイラっとしたり、腹が立つことがあるが、RPAロボットにネガティブな感情をぶつけても、パソコンが壊れるだけ。問題がより大きくなるだけ。それがわかっているため、アンガーマネジメントが機能している。こちらが我慢するしか打ち手がないため。

機械・RPAロボットの導入コストが年々、人件費よりも低くなっていく。ユーザーインターフェースの負担感も下がっていく。よりミス速く、よりミスなくを人間に求めていたことが、機械・ロボットが代わりにやってくれるようになる。所定内労働時間は無い。24時間稼働。

人間を機械に近づけていく必要が無くなっている。相手のことを考えなくなった人間、目的を考えなくなった人間が、相手のこと、目的を考えていく必要が出はじめている。人間が人間らしく生きていける時代になりはじめている。

組織は分業化されている。分業化はパターン化・標準化がある程度、暗黙知であれ形式知であれ、できている結果。パターンは繰り返しができる。繰り返しができることはRPAロボットや機械の方が得意でかつ、コストが低い。AIとOCRに接続されたRPAロボットは、その領域では人間よりもパフォーマンスが高い。

より速く、よりミスなくは、身に付けた方が良い習慣。しかし、それをゴールに、目的にできなくなっている。相手の都合を踏まえて、相手のことを相手の立場から想像したり、そもそもの目的を考えたりすることが、人間に必要になっている。いずれも当たり前のことですが、組織化された環境で仕事をしている場合、このあたりまえが習慣から無くなっている。

こと教育に関して。各自が興味があること、それを深掘りしていくことで、他の領域でも活かせるやり方が身についていく。これが重要になっていく。一方で、この流れで不足するのは社会性。社会生活を送るための具体的なやり方は教えていった方が良い。

例えば「1.ありがとうございます」「2.ごめんなさい」「3.失礼します」。この3つの言葉を実際に使えるだけでも社会生活は送りやすくなる。この3つの言葉は、3歳児以上であれば、頭では知っている。あたりまえのこと。しかし、実際には使いこなせている大人は、ごくわずか。このレベルは共通言語として教育でやった方が良い。

できればこの3つに「4.自分の都合を相手に押し付けない」できれば「5.相手の立場から想像する」を加えると、それだけでまともな社会になっていく。この2つは組織の中に入ることで、忘れ去られていくため。この2つが身についていることで「6.人を否定しない」がムリなくできるようになる。相手には相手の都合、常識があることが観えてくるため。

欲を言えば「7.教えてください」と「8.お願いします」も加えたいところです。