創造には衝突が必要。ただし、衝突直後の対応しだい

チームで仕事をしていると、相手とぶつかる瞬間がある。衝突は大切だと言われる。否定はしない。しかし、衝突が起きた直後に、どう対応していくかによって、意味のある衝突、意味のない衝突に分かれる。

多くの場合、相手が追い込まれつつある状況にあり、つまり、余裕がなくなりはじめ、相手のそもそもの前提にある考え方・価値観に反することが、話し合いの中で発生した直後に衝突が起こる。

相手と自分が目指しているゴールは同じ。そこに向け、お互いの専門を活かし、近づこうとしている。

例えば、なかなかゴールに近づくことができない。やり方を変える必要がある。相手にとって、ふつう、あたりまえになっている前提条件、考え方、価値観に踏込み、それを変えてもらう必要が出てくる。そうしないと、ゴールに近づけないことがわかっている。

リーダー人材候補者を需要創造型の行動と思考の習慣に移行させていく。相手にとって、日常、仕事をするさいに思考を深めていくことはふつうのこと。具体的には「なぜ?」「そもそも?」「ほんとうに?」のような問いを自分に投げかける習慣。その前提に、目指すゴール・ビジョンを持っている。

しかし、リーダー候補は、これらの思考をそもそも身に付けていない。身に付けていないため、モノゴトへの興味の範囲が広がらず、興味の範囲が広がらないために、研修等で知識や技術を渡しても、それを現業で使わない。

相手はこの状況を変えるために、使うことをノルマ化する、現状のレベルがわかるアセスメントをするなどが、今、打つべき打ち手だと考えている。この打ち手は間違ってはいない。しかし、そもそも、それ以前にやるべきことがある。それは、この相手が日常、ふつうに、あたりまえにやっている「なぜ?」「そもそも?」「ほんとうに?」のような問いを自分に投げかける習慣をリーダー候補の習慣にし、興味の幅を広げ、今までとは異なるインプット量を増やすこと。

この内容をストレートに相手に伝えても、相手の前提条件にある考え方、価値観は変わらない、人間には感情がある。自分が正しいと考えていることを否定されると自尊心が傷つき、ネガティブな感情が現れ、チームのパフォーマンスを下げることになる。

では、どうすれば相手の自尊心を傷つけずに、相手の前提条件にある考え方、価値観に気づきを与えることができるのか。

「〇〇(相手が言ったこと)は、〇〇ということですか?」

相手の発言の意味、意図の仮説を具体的に伝えてみる。

できれば、なぜ、そう考えたのかの背景も言葉で伝えられるとより良い。

これを繰り返していく。

衝突は大切。しかし、衝突の直後にどう対応するかで、チームのパフォーマンスは、良くも悪くもなる。人間には感情がある。“大人な対応”が大事といっても、大人にも感情がある。感情は、快か不快か、好きか嫌いか。感情に大人も子供もない。

最後に、とはいえ自分自身にも非や間違いはある。その非や間違いは素直に認め謝る方が良い。相手も自分も目指すゴールは同じなのだから。